あの懐かしき空の下で
第2話〜突然の発覚〜
誰かが語った空
結局、オフ会はいつもの通り、何気ないおしゃべりやゲームで時間を潰して終わった。
久しぶりに会えた連中と、何気ない時間を過ごすのもいいものだと思う。
今回、初めて会ったクィルケさんともそれなりに仲良くなった。
それからもチャットでしょっちゅうクィルケさんを見かけるようになり、
以前よりもよく会話するようになっていた。
まぁ、特別に仲がいい訳ではないが、いつも一緒にいる仲間の中に入ってきた感じだった。
クィルケさんが割とかわいい女の子だったということもあり、それはそれで悪い気はしなかった。
そんなネット生活を送っていたある日のこと・・・・
その日も、いつもの通りチャットで何気ない会話をしていた。
これと言って特別な話題はなかったが、いつもの事だ。
しばらくいつもの調子で話していたときに、クィルケさんが、
「そういえば、みなさんどちらにお住まいなんですか?? 私はN県なんですけど〜〜」
と聞いてきた。
あまり個人情報に関する質問を飛ばされるのは好きじゃないんだけど、もう常連しか残ってないし、
うるさいことを言うのも面倒だったから、素直に質問に答えることにした。
「今住んでるのはK県だよ〜〜 ちなみに、出身はN県だったりするけど(笑)」
他の連中もそれぞれその質問に答えていた。(嘘をついてるのもいたけど)
「へぇ〜〜〜 皆さん結構近くに住んでいるんですねぇ〜〜」
とクィルケさんが感心しているが、
「じゃなかったら、オフ会で集まったりできないって(苦笑)」
と誰かが突っ込みを入れると、
「あ・・・・ そういえばそうですよね〜〜〜(笑)」
(・・・って気付いてなかったのか・・・・・)
と気を抜いて(というより気が抜けて)いると、クィルケさんが質問を飛ばしてきた。
「そういえば、SさんはN県のどちらの出身なんですか??」
(・・・まぁ、それくらいなら答えてもいいか。こっちからネタを振ったようなものだし。)
と考え、
「ん??S市なんだけど。。。 クィルケさんは??」
と答えると、
「ん〜〜〜〜秘密です☆」
(って、おい・・・)
と、肩透かしを喰らっていると、メッセンジャでメッセージが飛んできた。
『こっちからごめんなさ〜〜い☆』
クィルケさんからだった。
チャットでは言いにくい話なのかな?と思いつつ、
『どうしたの??』
と聞いてみると、
『私もS市出身ですよ〜〜〜〜 チャットだとちょっと言いづらくて〜〜〜(笑)』
と言ってきた。 そんなものかな??と思いつつ、
『へぇ〜〜〜、それは本当に奇遇だねぇ〜〜〜』
と返すと、
『そうですねぇ〜〜〜〜 あ、ところで、Sさんって21歳でしたよね??』
と言ってきた。
そういえば、この前のオフ会の時に教えたっけ、と考えつつ、
『そうだよ。』
と返すと、意外な返事が返ってきた。
『え〜〜と、酒井雅隆って人、知ってますか??』
(!?!?)
本当にびっくりした。なぜなら、それは僕の名前だったから・・・・
この前のオフ会で会った時に、どこかで見た顔だと思ったのは間違いではなかったのだろうな。
実際に地元の方の知り合いなんだろうか??
でも、僕が地元を出たのはかなり前のことだし、気が付かなくてもしょうがないかな??
とか、ちょっとパニクってる頭で考えながら、
『ん??ど〜ゆ〜関係の人なの??』
と、時間稼ぎもかねて聞き返してみた。
まさか、あんな答えが返ってくるとも思わずに・・・・・
向こうも迷っているのだろうか?? 返事が返ってくるまでに若干のタイムラグがあった。
ちょっと時間も空いた事もあり、僕は思考が落ち着いてきた。
(聞いちゃまずかったかな?? 取り消しておいた方がいいかな??)
と思い始めた時に、ようやくクィルケさんからメッセージが返ってきた。
そのメッセージを読んだ瞬間、僕は凍りついた。
最初は見間違えかと思った。
次に何かの冗談だと思った。
しまいには、嘘であって欲しいとも思っていた。
そこに書いてあったメッセージは・・・・・
『ん〜〜〜 わたしのお兄ちゃんなんですけど、もしかして、知ってたりします??』
この言葉が全ての始まりだった・・・・
To be continued.
誰かが語った空