あの懐かしき空の下で
第1話〜初めての交流〜
誰かが語った空
「うぃ〜〜〜〜っす」
そう言って部屋に入って行く。
「久しぶり〜〜〜〜」
と返事が返ってきた。
久しぶりに見る顔が並んでいる。今日は久しぶりのオフ会だった。
見ると、いつものメンツはほとんど集まっていた。
毎回、何人かは仕事の都合などで来れなかったりするから・・・
「僕が最後?」
と聞いてみると、
「いつものメンツでは君が最後ね」
と後ろから小突かれた。・・・ちょっとビックリした。
「ね・・・姉さん。脅かさないでよ」
後ろを振り向いて文句をいう。僕が『姉さん』と呼んでいる女性がいた。
もちろん血のつながりは無いが、他人とは思えないほど気が合う人だった。
「遅れておいて何文句言ってるのよ」
・・・毎度の事ながらはっきり言う人だ。
「いつものメンツではって?」
話をそらしつつ引っかかった所を問いただしてみると、
「ほら、クィルケさんだっけ? 最近チャットに来るようになった人がまだだよ。」
という返事が返ってきた。
そうか、そういえば、今回は新しい人が来るんだっけ・・・
彼女(チャットでは女性と言っていたので)が来ると決まった時は楽しみにしてたものだが、すっかり忘れていた。
まぁ、いつものメンツだけでも十分楽しいし、そんなもんだろう。
しばらくみんなでチャットの話や、ゲームの話などをして盛り上がっていると、
「こんにちは〜〜〜 ここってオフ会の皆さんですよね??」
元気な声に振り向くと、見るからに元気の塊のような女の子がいた。
「そうだよ〜〜。え〜〜と、クィルケさん?」
一応確認してみると、
「え〜〜〜 何でわかったんですか〜〜? すご〜〜い☆」
と明るい答えが返ってきた。
・・・・テンションが高いんだね。
「最後の一人だからね〜〜〜」と他から声がかかっている。
他の男どもも群がってるような気がするが、気のせいか??
僕はちょっと離れて、(というか、クィルケさんが向こうが連れて行かれたんだが)眺めていた。
・・・なんか引っかかる。どこかで会った気がするんだけど・・・・
(まぁ、どこにでもいそうな顔だしなぁ・・・・)
と、腑に落ちないながらも納得してみた。
(でも、やっぱり会った事がある気がするんだよなぁ〜〜 どこで会ったんだっけな〜〜〜)
「何難しい顔をしてるのよ。何か彼女に不満でもあるの?」
と、姉さんに小突かれる。
「不満なんて無いですよ。ただ、どこかで会った気がするんですよねぇ。思い出せないんですけど」
説明すると・・・・笑われた。
「何それ〜〜〜 それをネタにナンパでもするつもり?? ダメだよ〜オフ会でナンパしたら」
(いや、そんなつもりは無いんだけどな)
「本当ですよ。 それに、僕が年下に興味ないの知りませんでしたっけ?」
肩をすくめてそう返す。
「あれ? そうだっけ。 まぁ、そーゆー事にしておこうか。」
・・・信用無いな・・・・ まぁ、いつもの事だし。
と思いつつ、話題のクィケルさんの方を見てみる。
・・・相変わらず男どもが群がっていた。
まぁ、世間一般的にはかわいい方だと思うし、無理もない。
「なんか悔しいわね。ここにこんなにいい女がいるのに・・・・」
とか隣でつぶやいてるお方もいる。
・・・ぉぃぉぃ。姉さん、あんな若いのに対抗心燃やしてどうするよ・・・
と言う言葉を口に出さずにつぶやいた。
まさか僕がそんなことを考えているとは思わないんだろう。
「S君は私の味方よね?」
とか言って顔を覗き込んでくる。
「・・・えぇ、まぁ。」
面白そうなのでわざと引っかかるような返事を返してみる。
と、
「ふ〜ん。そっか〜。そんな事言うんだ〜〜。じゃあ、次からはどうしようかなぁ〜〜」
とか言ってくれた。 ちなみに、ここは姉さんの家だ。
・・・卑怯な・・・・
「ごめんなさい。僕が悪かったです。お姉さま、いや、女王様・・・」
土下座して(と言っても、フローリングの床だが・・・)ちょっとふざけて謝ると、
「ほ〜〜ほほ。しょうがないわね。許してあげるわ〜〜」
と背中を踏んづけて高笑いを上げてくれた。
・・・相変わらずのりのいい人だ・・・・・
とか何とかやっていると、どうやら注目を集めてしまったらしい。
他の連中にとってはいつものことだから慣れてるだろうけど・・・・
・・・案の定クィケルさんは怪しいものを見る目でこっちを見ていた。
「もしかして、そ〜ゆ〜趣味の方だったんですか??」
ぐは・・・ とどめを刺された・・・・
思わず、視線から逃れるように床に突っ伏してしまった。
「や、やぁねぇ・・・冗談よ〜〜〜」
と姉さんも慌てて言っているが、片足がまだ僕の背中に乗っているので説得力が無い。
・・・ここは他の奴らの援護に期待するしか・・・・ と思っていると。
「そうそう。こいつはこ〜ゆ〜奴なんだよ。」
がくっ・・・・ 力尽きた。
「ちょっとぉ〜〜 何よそれ〜〜〜」
あ゛、声が怒ってる・・・・ って、足に力が入ってるし・・・・
「ご・・・ ごめんなさ〜〜い」
最初に軽口を飛ばした奴がわびを入れたら気が済んだらしい。
「わかればいいのよ、わかれば・・・・」
そんな感じでふざけながらも、何気ない話が続いていた。
来る人は増えたけど、いつも通りの楽しいオフ会だった。
To be continued.
誰かが語った空