夢から覚めたら
第4回
誰かが語った空
「わかったんだよ。この世界の謎が。ここは僕の夢の中なんだ。」
「だからそう言ってるでしょ?何を聞いてたの?」
あきれた顔をしている。
「だから、僕の見ている夢なんだよ。夢が現実になる世界でもなんでもない、ただ、僕が夢を見ているだけなんだ。」
「ほんとにそう思うの?これが夢だって。でも、現実にあたしはここにいるのよ。」
彼女があせってきているように見えた。
「だからそれも夢なんだろ?実際にここにいるわけじゃないさ。そうだろう?」
「何で同意を求めるわけ?あたしはここにいるって言ってるじゃない!」
・・・やっぱりあせっている。そう感じたから、思い切って言ってみた。
「じゃあ・・・なんでそんなにあせってるんだい?」
「・・・・・・・・」
うつむいて黙り込んだ彼女に、さらに追い討ちをかけるように、
「何で黙るんだい?やっぱり図星だからだろ?
君は夢の中の君でしかない。だからそんなに焦るんじゃないのか?」
と声をかけると、
「わかった。そう思うんなら思ってればいいわ。あたしは、あたしの好きにさせてもらうから。
そんな事を言うあなたでも、あたしの手で殺したくはないから。一応あなたは彼氏だからね。」
怒ったようにそう言い残して部屋から出ていってしまった。
・・・まあいいか、どうせ夢だし。それよりどうやってこの夢から抜け出そう。というより、夢の中で何をしたら現実で目を覚ますんだろう?
まあ、夢の中でそんな事を考えた事なんか無いからわかるわけもないか。
そう思って、考え方を変える事にした。夢から覚めるときはどういうシチュエーションで起きたんだろう?そこから考えてみた。
1、何らかの方法で殺される 2、高いところから落ちる 3、水をかぶる 4、燃える 5、追いかけられて、逃げている途中
・・・・・・5番あたりが簡単だけど、無理そうだな。どうしようかな。
そう考えていると、部屋の外から何かが倒れるような音がした。しかも、かなり重いものだろう。
・・・なんだろう?
このままじゃ状況は変わらなそうだし、見に行く事にした。
ドアを開けて廊下と思われる場所に出て、音のした方を向いたとき、それが目に入った。
「じょ・・・冗談だろ?なんだよこれ・・・・・・」
つづく
誰かが語った空